やり方1『色をかえる』
ガレコレ色に染めるの?と思われそうですが、ちゃんとした忍法の教えの一つです。一つのことに執着していては目的を達し得ず、手段をかえて試み、二段三段の構えで目的を達成しろという教えです。
この教えの例え話に「水がめを盗む」という話があります。
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ある忍法の先生が数人の弟子を伴って、町に散歩に出かける。とある大きな瀬戸物屋の前まで行くと、先生が門弟に「あの店の中央に飾ってある『大がめ』を盗め。各自試してこい」と命じるのである。
門弟達は、なんとかその大きな水がめを盗もうと努力するが、なにせ白昼、背丈もある水がめで手も足も出ない。とても無理だと先生にいうと、「なんとだらしない。それではわしが盗んでくる」といって出掛けていく。
そして、まもなく先生が、その大がめを背負って帰ってきた。あまりにも先生は堂々と背負ってきたので、驚く前に、どうもおかしいと店へそれとなく確かめにいく。
・・・店では金を払って買っていったという。・・・
門弟達はそんなひどい事はないと先生に詰めると、先生は、「これが忍法にいう色をかえる法である。お前達は、大きなかめ、大きな水がめとそこは執着していて盗めなかった。わしは十個ばかりの袂に入る小さなかめを盗み、それを金にして大きなかめを買ってきた。結局は大きなかめを盗んだことになる・・・」と教えるのである。
[鍋田開智先生著 再び守破離より抜粋]
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一見不可能なことも、可能にする術とでもいいましょうか。学生時代には、ガラナを買ってこいと言われたら、まずコーラーを買って、そのコーラーを売って・・・と、悪ふざけしたりしたものです。
この言葉を知った当時は、発想の転換という印象が強かったのですが、今は「物事を見通して、すぐに着手し、達するまで続ける」といったところに、本質があるように感じています。
by Network Communication Note