2022年10月2日(日)
手刀について #■合気道 合気道は『手刀の武道』です。ほとんどの合気道場において、最初から、手刀の奥義の一部を教えてもらえます。手刀を使わないと、合気道の稽古にならないからです。これが、他の格闘技と大きく異なる点です。理解できなくても、手刀の理論に触れることが大切です。稽古では、指導者の『手刀の軽さ』を味わってみて下さい。
手刀について、故師範やいろんな人から教えて頂き、咀嚼・吸収した要素を、自分なりにまとめてみました。手刀の動作を、『触れる・繋ぐ・[上げる→落とす→水平移動]・滑らす・返す・守る・攻める』に集約しました。
自分と同様な練習をされてきた人ならば、下記の文章だけも、うなづいたり、ヒントにしてもらえると思います。
【0-1. 薬指】
・薬指は、橈骨神経と尺骨神経が1本ずつ入っている特殊な指であり、薬指でなぞると柔らかく捌ける。
・薬指が、手刀の軸となる。
・小指の外側に第六指があるとイメージすると、薬指でバランスも良く、第六指を相手に埋め込むことも有効である。
【0-2. 手刀のつくり】
・五指の手刀:
手刀が移動している時は、ほとんどこの形。五指を自然に開き、ほぼ同じ方向にする。親指を手の平側に少し入れて、手先を立体にする。手刀全体の移動とは別に、手先は指先の方向へ常に移動するイメージ。
・一指四指の手刀:
親指を立てて、親指先に移動させる時の形。
・開きの手刀:
極やとどめでの形。五指が扇状に開き、平らになる。
・蕾の手刀:
極で抜きの形。親指と中指・薬指を繋げ、狐様に橈骨神経で輪を作る。
【1. 手刀の触れ】
・手刀は、手先だけでなく、腕全体であり、『日本刀』に見立てる。
・刃は、さほど重要ではない。
・手先・手首・前腕の両側面が『鎬[しのぎ]』であり、「ペチョン」とくっ付ける。
・鎬は十字に当てるのではなく、斜めに当てて、幅広く使う。
・鎬は一点ではなく、二点で当てており、相手の腕にベクトルを持たせている。
【2. 手刀の繋ぎ】
・相手を弱い手刀で、自分を強い手刀で、お互いの心臓の左右片表面を繋げる。
・強い手刀:
薬指から腕の外側下部で、腕に近い心臓左右片表面に帯で繋がる。
・弱い手刀:
人差し指から腕の内側上部で、腕に近い心臓左右片表面に帯で繋がる。
【3. 手刀の上げ→落とし→水平移動】
・手刀を相手とぶつかるまで上げ、ぶつかったら垂直に少し落とし、水平移動する。
・手刀の水平移動では、相手の心臓を外に取り出し、相手を浮かせる。
【4. 手刀の滑らせ】
・鎬全体を使って、押し滑らせる。
・水平に近い場合は、「チュルン」と軽く滑らせる。
・垂直の場合は、相手を一皮削る。
【5. 手刀の返し】
・手刀の返しは、引っ掛けでも回転でもなく、倒すのともニュアンスが異なる。船の左右の傾きを大きくした感じだがそんなに重くなく、『復元力』を備えている。
・手刀の移動中に、ダラダラと手刀を返さない。
・極(反射)や最後(とどめ)で、手刀を返す。
【6. 手刀での守り】
・薬指を書き始め、手首を頂点、肘を書き終りとした『への字』で、相手の腕に軽く絡み付き、固定する。
・上のへの字、下のへの字がある。
【7. 手刀での攻め】
・流れの中で、相手の眼や鼻先などをかすめる。
・相手自身の手先で、片目を当てにいく。
【8. 軌跡】
・自分の手刀の軌跡は、『蒲鉾の軌跡(マッシュルームの軌跡)』で繋げていく。
・技の軌跡は、意外にも自分の手刀の軌跡ではなく、『相手の肘の軌跡』である。
・『筆』に例えると、手刀の接触点がダルマで、相手の肘が命毛。
【9. 手の平に龍の玉】
・指先を使う手刀で、別系統につき、割愛。