2021年8月16日(月)
一教裏 引き倒し #■合気道 8月は『一教裏
引き倒し』を練習しています。実戦では、相手の裏を取ろうとしても、なかなかそうさせてはくれません。表の技で戦うのが基本で、裏の技は適した場面になったら出すものと考えています。
裏の技は、相手と自分の間合いが詰まった時に有効です。遠い間合いから相手の裏を取ろうとしても、相手に修正されてしまいます。
練習では、遠い間合いからお互い歩み寄って、表同士で戦っているふり?をして、相手の裏に入る準備をします。いきなり、相手の裏に突き進むのではなく、『初動』で相手を外してから、相手の裏に『入身』します。
片手持ち右半身で説明します。
【初動】
相手に、右手首を持たせる時、右手刀を右にずらします。相手の左手親指に繋ぎを掛けて相手を少し前に浮かし、同時に相手の右手の掴みを甘くします。相手が持つのではなく、相手に持たせる感覚が大事です。
▼ 相手
╲│
|
▲ 自分
右手先を、指揮棒を振るように、垂直に振り降ろします。自然に右腕全体が数cm沈み、相手の左手は『手解きの逆抜き』で切れます。『レ点の返し』で、自分の右手を相手の右手の外側に下から触れます。この手の甲同士で一瞬絡み合う状態を『楔付け』と呼ぼうと思います。
▼ 相手
|
╲
▲ 自分
[上からの図]
【入身】
相手の右外側後方に左足を少し進めて、左半身になり、右手刀は後方となります。
手刀の方向は、踏み出した方向で、上に向けません。相手の肘を攻めて曲げる必要はありません。右手刀が、相手の右腕に対して腕1本分下なので、相手を浮かせることができます。
▼ 相手
| |
▲|
自分は左半身
[上からの図]
【相手の腕を反す】
「相手の肘を反す」と言うと、相手の肘を曲げて、梃子の原理で押し反すイメージが強いので、この表現をやめました。
また、右手刀でこねくり回すのでもありません。
右手刀の指はさっと上に向き、同時に左手を相手の肘に添えます。これが、合気道の味噌です。(故師範からこの動きを何度も教えて頂いていたのですが、しっくり来るようになったのは、随分あとのことでした。)
右手刀と肘に添えた左手を、同時に挙げます。フォークリフトの二本差しで挙げていく様から『リフトアップ』と呼ぼうと思います。ここでは、まだ右手刀を反しませんし、相手の肘を回しません。ただ、挙げるだけです。体捌き『磯返し』の動きです。
相手の肩は、相手の体の側面で回るのではなく、プロペラ機のように体の前面で回ります。相手の腕自身で、相手の視界を隠すように挙げます。相手の重心を相手の左側に寄せています。
●■─□
/左 右
甲 平
[横からの図]
右手刀を反しながら、相手の重心を相手の右側に戻して、相手の頭部の右前部と右腕、および、自分の両腕の重さで、相手の右腕を降ろして押えます。
【相手を引き倒す】
自分の軸を固定して回転させて、相手を振り回すのではありません。
左足を相手に対して少し入れて、自分がいた場所を相手に通過させます。自分の軸を移動・回転させて、自分の体を消します。
①手刀が入ること、②自分を消すことを『一教裏
引き倒し』の練習から習得して下さい。一番弟子は、この感覚を掴んだようで、彼の説明は上手なので、練習生は頭で納得しながら練習できています。助かるなあ。
P.S.
『円の体捌き』は、正円ではありません。『渦』『波』、そして『特異点』をイメージして練習して下さい。