2017年9月21日(木)
半身のベクトル #■合気道 技を学ぶときに、『運足』を教えて欲しいと言う。自分も若かりし頃、そうであった。まず、『型』から覚えるのが筋と思っていた堅物だったからである。故先生は、お前たちもそう言うのかと、冷めた目で見詰められたことを覚えている。型から入ること自体は誤りではないが、つまらない考え方である。それに気付いたのが、先生が倒れられてから口伝で教えて頂いていた頃であり、今になって活きている。
『半身』を相手に対峙するときの構えだけとするのも、勿体無い話である。技の途中でも、半身を意識して繋げていくと面白い。
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①相手の正面に対峙して半身
(1)
▼・・・相手
↑・・・自分(半身のベクトル)
(2)
▼
↑
(3)
▼
↑
半身とは言え、(1)のように相手の真正面にいては、何のメリットもない。
(2)や(3)のように、相手の中心からずらして半身する。相手の心臓表面のラインおよび脇のラインで4本、右半身左半身で2つ、つまり立つ位置だけで合計8種類の半身があり、それらのコンビネーションと手刀の所作の組み合わせは無限となる。自分から教えられるのは、幾つかのコンビネーションに過ぎない。いろいろ試してほしいところだが、自らの半身がどういう状態なのか認識できるようになることが先決である。
┌─┘ └─┐
│ │
││(心)││
↑↑↑ ↑↑↑
肩脇心 心脇肩
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②相手に対してT字に半身
▼
→
初心者には、これで相手の上澄みを取ることを練習して貰っている。上澄みが取れていく過程を実感してもらうのが目的であり、技は二の次という段階での練習である。
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③相手の側面にて同じ方向に半身
↓▼
合気道の動画や説明をみていると、このような状態が数多く見られる。一般的に言われる『入身転体』は、自分も数知れず練習したものである。しかし、納得いく感覚に襲われたことが無く、理論も導き出せていない。現在、このような状態になるだろう技は、練習の対象外としている。
当道場で教えている『流し』は、これではないかと思われるかもしれないが、これではない。先生の動きを思い浮かべてみても、一般的に言われる『入身転体』とは位置取りが異なっている。
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④相手の背に斜に半身
▼
↗
※文字記号では上手く表せないが、離れている訳ではない。
②が出来るようになると、相手に対して『斜』に半身の過程を意識して、相手の上澄みを取って技に繋げてもらっている。
何で技が掛からないのか分からなくなっているときは、得てしてこのようになっている。
この形もありなのではと考えてしまうが、実際に試してみると、相手の自由度が高くなるだけである。他の術を合成させるのも難しくなる。誤りと考えている。
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⑤相手の腹に斜に半身
▼
↗
今回、これを直突き一本捕りの技の過程に取り入れて練習した。さすがは内弟子、理論はことごとく理解できるようで、嬉しい限りである。今まで何かが足りないと感じていたところを補えたようで、一回目の練習としてはまずまずといったところ。
「斜に半身」だけでは、説明が不十分だと感じていたところ、違いが判明したので、「腹に」を追記して説明してみた。
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P.S.
当たり前として、意識していなかったところに気付くのは、なかなか難しい。当たり前を見落とさないことが肝心であると気づかされた。