2017年1月13日(金)
手刀[てがたな] #■合気道 合気道は、『手刀の武術』というのが持論である。
打撃系の武術では、手刀[しゅとう]と呼び、相手を打ち砕き、相手の攻撃を薙ぎ払う。
合気道では、手刀[てがたな]と呼び、手刀で相手とくっ付き、相手を制御する。
強い手刀のつくりは、心臓表面から発し背中に抜け、肩甲骨の下、脇外側、腕1/4軸下部外側、薬指と連なる。手先だけではない。腕の中心にある骨が軸ではない。
弱い手刀のつくりは、心臓表面から発し胸に抜け、脇内側、腕1/4軸上部内側、人差し指と連なる。一見、力が入りそうなラインであるが、腕の中心を通らないので力が入らない。相手を弱い手刀にするのである。
手刀の形状は、小指側を刃に見立てた刀ではない。剣玉の平皿として、相手を乗せる。相手には2点でぼかして接して、方向性を与える。1点で接しては、相手に気付かれやすく、方向性も生まれず、滑るだけである。手刀で、斬ったり、引っ掛けたり、押し込んだりすれば、瞬く間に不思議が消え失せる。
手刀の粘着は、相手の腕の内側にある弱い手刀のラインに効かせることで産まれる。オーラを活用してみたり、6本目の指が相手に浸透していると想像してみる。
手先の仕草は、花と蕾を繰り返す。手先が、開きっぱなしとか真っ直ぐなままと言った同じ調子ではない。花から蕾に戻る半分で相手に接して同調し、さらに蕾に戻り相手を誘導する。捌きの節では、息継ぎのようにサッと花が咲く。花が咲いて自分の力を出すのではなく、蕾に戻す過程で相手の自由を奪う。
手刀の指使いは、五指、一指(親指)と四指の二通りある。五指では薬指に従い、一指と四指では親指に従う。親指に従う場合、天に地にサッと切り替わる。
手刀の反しは、薬指を喫線とした傾きと復元である。手首をくるくると回すのではない。
技の軌跡は、本来は相手がどうなっていくかの動きであるが、自分の動きで言えば、心臓および手刀の軌跡である。転体では、手刀は体によって動かされ、体へと導かれ、体を除け、体があった場所に辿り着く。体の周りで、手刀を振り回すのではない。
また、『円の体捌き』という言葉に踊らされて、手刀で正円の軌跡を描いても全く無意味である。寄せては返す磯の波のように、手刀を使ってみる。
P.S. インターネット上の動画でみても、手刀を研究して合気道されている方は少ない。合気道の面白さが欠けた内容では、生涯は続かないだろう。
P.S.2 自分の一番弟子は、上記の内容をすべて頭で理解している。つたない指導で、ある意味凄いのだが、動きとなると半分の出来である。目から鱗という感動が、まだまだ足りないのだと思う。仮設道場が仕上がり、道場生が増えて、思いっきり投げ飛ばすことができるようになれば、上達の具合も良くなると思う。
P.S.3 素人ではチンプンカンプンであろうが、合気道経験者であれば、いくつか思い当たる節があると思う。そこを糸口に、手刀を研究していってほしい。