2025年5月23日(金)
天に浮かせて、地に吸わせる #■合気道
合気道の技名にあるように、初心者には関節技から教えるのが一般的です。ただし、関節を痛めつけて相手を倒すことは、合気道の柔術部分であり、物理的要素です。
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一教押し倒し(腕抑え)
二教小手回し
三教小手捻り
四教手首抑え
五教手首極め
六教肘固め
小手返し
四方投げ(腕絡み)
※一教とはレッスン1のことと言えば、分かりやすいかな。
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相手を倒すには、殴る・蹴る・体当たり・組む・投げる・極める・傷つける等が考えられます。現代スポーツでは、ルール内で戦わせることで、安全性を担保したり、特定の技術を向上させたり、面白くしたりしています。
ボクサー相手に拳で挑むのは、無謀です。お相撲さんに体当たりしても、弾かれるだけです。戦いでは、力自慢の人は力を、機敏に動ける人は速さを活かせば良いのです。
ただ、自分より強くて速い人は五万とおり、誰しも老い、病気や怪我に見舞われます。そのような場合でも、最善を尽くせる要素が、合気道にはあります。
「騙しが無ければ、合気道ではない」と師範が何度もおっしゃられています。相手を物理的に崩すことに加えて、相手に「何か分からないけれど崩された」と感じさせることが、騙しの一種です。
騙しは、手順によって発生しますが、機械的に行なっても上手く行きません。相手がどう感じているかを感じ取ることが、大切です。
「お互いを微重力空間にいざなう」と教えています。重力が狂ったような共有空間を作り出します。相手を浮かせるだけでは不十分で、自分も浮かせることにより、相手の浮きに相乗効果を与えます。浮きは、つまずきの動作を模したベクトル要素もありますが、位置の認識差により生じます。
相手を押さえ付けるのでも、引っ張って投げるのでもありません。その場所へ吸い込ませるように、押さえたり、投げたりします。
初動において相手を軽くしたければ自分も軽くして、トドメにおいて相手を重くしたければ自分も重くします。
合気道の技は「天に浮かせて、地に吸わせる」この天地で構成されています。
『呼吸投げ』は、この2つを限りなく同時に行なっており、高等技術ではありますが、初心者が合気道を学び始めるのに、最も適した技と考えています。