ガレコレ [Garage Collection]
2023年8月25日(金)
学んで欲しいのは感覚 #■合気道
 当道場では「型の反復稽古をしなさい」とは言いません。そもそも、技の型は、『基本』ではなく『基準』です。自分が教えられる型は、初めから完璧なものでもなく、言わば感覚を磨くための『道具』と考えて下さい。

 「自分の型に嵌れば勝てる」という考えを捨てています。相手がどう感じているかを感じることが大切です。



 合気道の技名には、『関節技』の名称が多く用いられています。
・一教 腕押さえ(押し倒し、引き倒し)
・二教 小手回し
・三教 小手捻り
・四教 手首押さえ
・五教 手首極め
・六教 肘固め(脇固め)
・小手返し

 しかし、合気道の技の本質は、関節技ではありません。当道場では、手首関節を極める練習ではなく、相手が滑り崩れて行くように導く練習を行なっています。

 稽古では、『効果』を感じ取りましょう。故師範は笑って「それでは何百万回やっても身に付かない」とおっしゃられていたものです。



【半分】
・50%のことではない。丁度50:50では、どちらに転ぶか分からない。
・少しの偏りが、詰将棋を生む。相手が、無意識の内に、追い込まれる。
・技は、各工程を半分で繋げていく。全力で臨めば、最初の行程で技が完結することになる。

【斜め】
・45度のことではない。
・鋭角や鈍角、(45度より)狭いや広いで表現している。
・半分と同様、少しの偏りが、詰将棋を生む。

【反射】
・返しは、反射であり、Uターンや円弧や遠心力で、こねくり回すのではない。(円の体捌きという言葉からのよくある勘違い)
・同じところには返さない。
・入射角と反射角は同じではない。
・『レ点の返し』は、入射角が垂直で、反射角が斜め。

【表面】
・力が伝うのは、手刀の表面であり、お互いの腕の芯ではない。芯を喰らわない、芯で捌かない。
・働きかけるのは、相手の『心臓の表面』であり、相手の心臓の中心ではない。体の左右どちらかで力がループすることにより、相手の動きが止まったり、極まる。

【空間】
・扇状の広い共有空間を上手く使う。
・広い共有空間に対して手刀を捌き、広い共有空間を移動させる。
・相手と自分を微重力空間にいざなう。
・0レンジの間合いにおいて、イメージする小さな玉がクッションやベアリングとなり、相手とぶつからない効果を生む。

【肘】
・相手の手首ではなく、相手の肘を筆先に見立てて、空間で滑らせる。
・相手の手首と肘において、上下関係を意識する。

【手刀】
・刃より『鎬』や『峰』を意識する。正面打ちで、相手の刃を受けるような動作では、短刀取りや剣取りができない。
・剣先である手先は、萎んだり、開いたりする。
・人差し指と中指の二指は、釣り針にもなる。
・手刀による『触れ』を大切にする。
・手刀は腕も含まれており、前腕で滑らすことは重要である。
・強い手刀は、『薬指』でつくる。『人差し指』でつくれば、弱い手刀になる。
・相手が手刀を使っていなくても、相手の腕を手刀に見立てる。相手に『仮想剣』を持たせて、それに対して『剣の弱点』などを掛ける。
・手刀の返しは、極近くにて行うもので、移動途中からズルズルと行うものではない。

【分割】
・体の部位を、それぞれ『四分割』する。
・分割した一部を動かす。
・相手の腰を貰わない。
・心臓の底面より上体を『上澄み』と呼んで、これを移動させる。

【攻防一体】
・攻めの動きの中に、ちょっとした守りが含まれている。相手の腕を『盾』にしたり、手刀を軽く『への字』にして相手の攻撃が入ってきにくくしたり、相手を『おひけえなすって』等で前足の動きを殺したり。

【反対】
・相手を左に移動させたいならば、先に右に押し込む。
・常識とは反対の発想が役立つ。例えば、運足では、足先や膝を前に出すのではなく、踵を進ませて脚の裏側を前に出す。

【言葉】
・言葉は、必ずイメージと結び付けて覚える。
・集約された言葉は、解釈次第では誤解を導くことを忘れてはならない。
・一つの事象を、幾つもの言葉で説明することが望ましい。



 上記は、最初から文章にて理解しておく必要はありません。

 感覚を伝える為、瞬時に発せられるように、術名/動作の呼び名/擬態語を考えています。逆に聞こえるかもしれませんが、道場生にはあえて考えさせないように、言葉を浴びせ続けています。当道場での練習は、実戦です。練習後に、幾らでも考えて下さい。

 Don’t think! Feel.[ブルース・リー]
 自分がどう動くか考えるな! 相手を感じろ。[自分が信じている直訳]・・・自分が思った通りに動けるようになっただけでは、目的を達成できない。

 道場は、気付きの場。ある時ふと、あたかも自分自身で発見した感覚に襲われることを願っています。そうなれば、その感覚はあなたのものです。
 
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