ガレコレ [Garage Collection]
2022年10月11日(火)~16日(日)
静岡大学合気道部の現役世代へのメッセージ #■合気道
 老婆心ながら、今述べるのに、良いタイミングと感じて、ブログしています。【経緯】は、読み飛ばして下さい。【鍋田師範のお考え等(推察)】だけでも、お読み頂ければ幸いです。



【経緯】

 故鍋田師範は、1989年5月、自分が大学院1年生の時に倒れられました。回復なさって、生涯、静岡大学合気道部を指導していくと心に誓われたと察しています。

 自分は、1991年3月に卒業してから1999年12月までOBとして、合気道部の土曜日の練習に参加させてもらっていました。

 2000年(平成12年)に、鍋田師範は指導者を小林くんに定められて、新体制がスタートしました。自分は、仕事の関係で、その年1月に高知入りしたので、以後、静岡に関与することは難しくなり、疎遠になっています。2002年8月に夏合宿に参加。2005年10月が大学道場での最後の練習参加となり、その時に鍋田師範の仏前にようやく手を合わせることができ、自分の合気道場を開設することを決心しました。



 2007年1月に、十畳合気道場を開設しました。それまでは『一人稽古』をしていましたが、合気道をやりたいという人が丁度現れたので、渡りに舟だった訳です。

 その後、紆余曲折あり、未だコロナ禍ですが、自分を含めて4名(あと、幽霊部員+1名、コロナ後復帰予定者+3名)で稽古しています。



 つい最近になって、先輩方からメールやLINEでご連絡を頂き、やり取りするようになりました。10月15日(土)に『OBOG稽古会』を卒業生有志で開催するとのことで、自分は仕事で行けませんが、遠方の地で楽しみにしています。

 さて、現役とOBOGにおいて、情報が不足していると感じ、このブログにまとめさせてもらいました。



【鍋田師範のお考え等(推察)】

 鍋田師範が思い描かれていたことなどを、自分なりの推察ですが、列記させてもらいました。

①鍋田師範は、平井稔範士との『武道の稽古』の再生を目指されていた。「今日も生きて帰れた。」と思う稽古だったと言われたことがあった。

②「奥義を修得することに時間を使いなさい。」と、大学の幾年間で習得して欲しい内容と練習方法を示されていた。

③合気道鉄心会と静岡大学合気道部の合気道の違いを是正しようと、苦心されていた。これを挙げると、こじれるが、自分を含めて謙虚に受け止めるべきである。

④鍋田師範が「そんなやり方もある。」と言われたときは、肯定ではなく、否定であった。昔は「しゃらくせー」の一言だったそうだ。自分達も言われた覚えがある。

⑤指導者は、誠実さが一番大切である。かつ、自分も実感しているが、体格が似通っていないと、伝授は難しい。適任者と判断なさった小林くんに託された。自分は、信頼する。



【稽古内容】

 練習方法は、先輩/後輩の1対1で教える/教わるだけでは、不十分です。鍋田師範から、自分の現役時代にも、下記の方法で練習するように言われ続けておられました。

・二段取り
・円陣
・連続返し技

 『円陣』は、『多人数取り』ではありませんが、上級者ではそうなっても良いと考えます。それぞれの練習方法で、何を身に付けたいか明確にして臨みたいところです。

 また、鍋田師範から「合気道の試合を考えてみろ。」と言われていました。「社会人になったら、柔道をやってみろ。」とも言われており、約10年間、実業団柔道の試合にも出させてもらってました。

 合気道の試合を試行錯誤してみましたが至らず、断念しました。しかし、柔道を通じて、『乱取り』に至る必要性を実感しました。



 下記の2つは、同流派において、共通の概念を持つ、独特な稽古です。

・体捌き
・相対体捌き(当時は相対動作と呼んでいた)

 型はありますが、基準をお示しすることしかできません。

 『体捌き』は、組み合わせて技にするのではなく、部品を技に組み込むのでもなく、自分を球にする稽古です。

 練習時間を多く取れる学生さんには、『相対動作』に時間を費やして欲しいです。技とは異なり、相手を倒せなくても構いません。技より自由に動ける分、相手と両手刀で繋がっている分、相手がどう感じているかを、感じられるはずです。



 技術は、次の3点に絞ったら良いと考えます。これらは、奥義です。奥義の内容を知るだけでは意味がなく、奥義を磨いて下さい。

・手刀
・入身
・腰回し(腰回り)

 『手刀』は、軽いものです。手刀を日本刀に例えると、刃や峰よりも、両側面の鎬[しのぎ]を使います。『手刀の触れ』『手刀の反し』が大切です。正確というより、丁寧に行ってみて下さい。

 『入身』は、『流し』と呼んでいる『入身転体(入身転換)』と『側面入身投げ』で、入身をどう使っているか、今一度考察してみて下さい。

 『腰回し』を、自分は未だよく分かっていません。相手との接触前、接触後も使い、力を出す為の回転力では無く、自分を消す『騙し』と考えています。異なっていたら、小林くんに従って下さい。



【余談】

 鍋田師範から「学生さんは頭が良いのだから、合気道の本を書いてみろ。」と、社会人になってからも言われ続けてきました。動画ではごまかせても、文字に起こす作業は難しく、「全然分かっていない」と気付かされます。

 学生時代には、酒を酌み交わしながら、分かっていなくても、あれこれ談義したものです。自分は今もその延長線上にいるつもりです。困った時には、語り合うのが一番です。メールやLINEで、文章のやり取りも、乙なものです。



 修行段階を示す『守破離』は、鍋田師範の代名詞です。自分は、高知入りした時から、『破』を意識しました。

 適当な合気道場が無かったため、『一人稽古』に明け暮れていました。技を試行錯誤するときは、鍋田師範に掛けてもらったときを思い出したり、鍋田師範ならどうされるだろうと想像したものです。

 「一人稽古では、実は師範と稽古していたんだなあ。」としみじみ言うと、一番弟子から「何格好付けてるんですか。偉い人は皆んなそんなこと言ってますよ。」と小馬鹿にされてしまいました。自分もそう思ったのは、つい最近のことです。若い頃のことの方が鮮明に思える老人の戯言に過ぎないのかも知れませんが、『守』の核に鍋田師範がおられたことが救いだったと思います。
 
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