https://www.yonden.co.jp/assets/pdf/publish/page_12/explanation4.pdf(事象2)3号機 原子炉容器上部炉心構造物吊り上げ時の制御棒引き上がり[1月12日発生]
【伊方3】
https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2020/05/jp-npps-operation20200508.pdf炉型:加圧水型炉
PWR
[Pressurized
Water
Reactor]
出力:890MWe
運転開始:1994年12月15日(現時点25.6年)
【原子炉構造の概略】
原子炉は、原子炉容器、下部炉心構造物、上部炉心構造物の3つから成り立っています。
┃┌──┐┃↑
容器┃│上部│┃│
┃└──┘┃│
┃┌──┐┃約10m
┃│下部│┃│
┃└──┘┃│
┗━━━━┛↓
下部炉心構造物には、燃料集合体157体に対して、制御棒クラスタ48体が市松模様状に配置されています。
[下部炉心構造物の平面図]
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□★□●□□□●□●□
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□:燃料集合体109体
●:燃料集合体47体+制御棒クラスタ47体
★:燃料集合体1体+引き上がった制御棒クラスタ1体
参考:燃料集合体の構造と制御棒
http://www.ene100.jp/www/wp-content/uploads/zumen/5-1-7.jpg※伊方原発は、PWR(加圧水型軽水炉)で、制御棒クラスタの平面は円形で、燃料集合体の内部に、制御棒が差し込まれます。
[燃料集合体の断面図]
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←─────約21cm─────→
←───約16cm───→
□:燃料棒 ●:制御棒
※ちなみに、BWR(沸騰水型軽水炉)では、制御棒の形状は十字型をした板状であり、4つの燃料集合体の間に挟まるように設置されます。
□┃□ 燃料集合体
━╋━ 制御棒
□┃□
↔約14cm
上部炉心構造物は、燃料集合体と制御棒を固定および吊り上げるものと推測します。
原子炉の起動や停止、出力の増減は、制御棒の出し入れと1次冷却水の中に溶けているホウ酸の濃度を変化させることで行います。
【事故の過程】
48体の制御棒クラスタを、1体1体作業していきます。天井クレーンが1つと推測しました。
1.結合状態
┃駆動軸取り外し軸
│┃│
│┃│駆動軸
│┃│
┣│┃│┫
┃┤┃├┃
┣│┃│┫
┃┤┃├┃
┣━━━┫制御棒クラスタ
┃ ┃
2.駆動軸取り外し軸の引き上げ
↑
┃
│ │
││駆動軸[先端がすぼむ]
││
┣
││
┫
┃
┤├
┃
┣
││
┫
┃
┤├
┃
┣━━━┫
┃ ┃
3.駆動軸の引き上げ
↑
↑┃↑
│ │
││
││
││
┤├
││
┤├接手
┣ ┫
┃ ┃
┣ ┫
┃ ┃
┣━━━┫
┃ ┃
4.駆動軸取り外し軸の引き下げ
↓ ↓
正 ┃ 誤 ┃
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
┤┃├ ┤ ├
│┃│ │ │
┤┃├
┤├※接手の開きが不完全
┣ ┫ ┣ ┫
┃ ┃ ┃ ┃
┣ ┫ ┣ ┫
┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━┫ ┣━━━┫
┃ ┃ ┃ ┃
①(駆動軸の接手の内部と駆動軸取り外し軸の先端の間に)付着した堆積物の影響で駆動軸取り外し軸が本来の位置まで下がりきらなかった。
↓
(駆動軸の)接手を完全に内側から押し拡げることができなかった。
5.駆動軸の引き下げ、仮置き
正↓┃↓ 誤↓┃↓
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
┤┃├ │┃│
│┃│ ┤ ├
┤┃├ │ │
┣ ┫ ┣
┤├
┫
┃ ┃ ┃ ┃
┣ ┫ ┣ ┫
┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━┫ ┣━━━┫
┃ ┃ ┃ ┃
②仮置き時、(駆動軸の)接手(の外部)と制御棒(クラスタ)頭部(の内部)の間に堆積物が付着しており、不安定な状態だった。
↓
工具取り外しの振動で堆積物が脱落。
↓
③駆動軸の先端が制御棒(クラスタ頭部の内部)に沈み込み、不完全な連結状態に至った。
6.上部炉心構造物の引き上げ
↑ ↑
正↑┃↑ 誤↑┃↑
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
│┃│ │┃│
┤┃├ │┃│
│┃│ ┤ ├
┤┃├ │ │
┣
┤├
┫
┃ ┃
┣ ┫
┣ ┫ ┃ ┃
┃ ┃ ┣━━━┫
┣ ┫ ┃ ┃
┃ ┃
┣━━━┫
┃ ┃
(④制御棒クラスタが引き上げられた。)
※()内は、報告書の文章に言葉を足しました。
【ガレコレの考察】
報告書を信じれば、『仮置き』という作業工程があること自体が原因になったと考えられます。仮置きをした方が安全という考えでしょうが、仮置きに意味はありますか?
駆動軸の先端は、復元力によってすぼむのでしょうか? もしそうならば、この仕組みで、今後も本当に大丈夫なのでしょうか?
写真と制御棒クラスタの幅寸法から推測すると、制御棒は約50cm引き上げられたことになります。この数値が、報告書に明記されていないのに疑問を抱きます。数値を出すと、写真が嘘になるのではないですか? 悪意を持って観れば、実際はもっと引き上げてしまい、写真は下げたときに撮影したと考えることもできます。
「駆動軸の先端が制御棒(クラスタ頭部の内部)に沈み込み、不完全な連結状態に至った。」と結論付けられています。もし、制御棒クラスタが落下した場合、被害はどの程度になったのでしょうか?
完全な連結と不完全な連結では、見えている制御棒の長さに数cmの差があるはずです。計測データと写真から、完全な連結なのか不完全な連結なのかを知ることができないのでしょうか? もし、完全な連結であるとすれば、完全に人為的操作ミスとなります。また、不完全な連結は、人為的操作ミスで発生しないのでしょうか?
事故の再現ができなかったと述べられていますが、再現できるレベルの事象と考えられます。外部に、シミュレーターは存在していないのでしょうか? 再現実験に疑問を感じます。