ガレコレ [Garage Collection]
2019年8月23日(金)
部位を詳細に表現 #■合気道
 合気道の修練を続けてきた人が、壁にぶち当たっているところの一つに、部位を単純に捉え過ぎて、今一効果が得られていないことが挙げられるだろう。


【肘】

 「相手の肘を攻める」と言うと、相手の肘が尖がるように攻めればいいと思ってしまう。物理的に腕力で攻めるなら、これでもほぼ正しい。

 「相手の突きが伸びきる前に、相手の肘を捕る」を当道場では少し詳しく「…、相手の肘に手刀で下から触れる」と教えている。肘の尖がりに触れるのではない。表の技では、肘の二の腕側下部内側、または、肘の前腕側下部内側に触れる。裏の技では、肘の前腕側下部外側、または、肘の二の腕側下部外側に触れる。

    内側
     
 
上部
 二の腕側・肘・前腕側
     
 
下部
       外側


【脇】

 「相手の脇を攻めて、相手の体の遊びを無くす」と言ったとき、脇の窪みを攻めて谷に折るのではなく、脇の正面胸側を攻めて脇を窪ます。

   
 
正面
 胸側・脇・腕側
   
 
背面

 側面入身投げの練習において、道場一年生が、このことに気付いて言及したので、感心するとともに、きちんと公開することにした。


【首】

 「相手の喉(首)を攻める」と言ったとき、ラリアットでなぎ倒すのではなく、相手の顎下に手刀で触れて顎を上げ、顎上に触れて顎を引かせ、顎をチュルンと跳ねさせて手刀を喉に収める。つまり、相手の顎に働きかけて、相手の頭を操作して、相手の体を崩している。

  頭
  顔顎 唇側(顎上)
  首 喉側(顎下)
 
 
背胸


【心臓】

 「ツボを攻める」と言うが、痛みを伴わせることだけではない。相手を動かすには、関節そのものを攻めるのではなく、関節に働きかけて、心臓の表面に効かせる。
        人差し指 薬指
            手
     
 
[弱い手刀]手首[強い手刀]
           
 
前腕
            肘
     正面  胸 二の腕
 左表面・心臓・右表面 脇
     背面  肩甲骨


 肘、脇、首、心臓という漠然とした部位名での練習は、当たらずとも遠からじなので、少しずらせば良いだけである。合気道の壁を越えられることを願う。


P.S.
 
こんな細かなことを言うようになったのは、ここ数年である。道場開設時、動きはある程度できていたけど、指導では、言葉が出てこず、擬態語ばかりであった。漠然としたところを、言葉にすることによって、技も進化し続けている。

 ゆずFeSで、合気道体験教室をやってみようと挑戦できたのは、いろんな要素が揃った感があり、少し欲張って、広めようと思えたからである。


P.S.2
 
大学体育会の部活で最初に学んだ合気道は、先生曰く学生合気道で、学生さんが都合よく変化させてしまった合気道であった。

 先生の道場に通わせてもらうようになり、その違いを明らかに感じた。先生に言われた通りに『流し(入身転体)』の練習に明け暮れた。相手を投げ飛ばす練習ではなく、技に至るまでの過程である。それでも、何も分かっておらず、力技であったと反省する。

 すべては『流し』から始まった。若き日の大学在時代に、自身の合気道をどこまで完成させるかではなく、本質に触れる合気道を学べたことに感謝している。若人には、完成を目指すのではなく、本質を体験することに、重きを置いてほしい。


P.S.3
 
真似るは学ぶことの取っ掛かりには違いない。しかし、合気の術の域である名人技を真似て、何百万回練習しても、修得できるはずもない。合気柔術を反復練習することで、合気の術が見えてくる可能性がある。


P.S.4
 
合気道では、同じ原理の技でも、相手の正面で掛ける技を表技、相手の側面に入って掛ける技を裏技と呼んでいる。裏技というと、何か奥の手のような感じがする。以後、表の技、裏の技と呼ぶことにする。技名の最後尾に付けるときは、表、裏とする(例:一教表)。
 
お問い合わせ


by Network Communication Note