ガレコレ [Garage Collection]
2019年7月12日(金)
手刀の捌き #■合気道
 合気上げなどは、学生時代には『呼吸法』または『呼吸投げ』として習ったと記憶しています。

 ただ、当道場の今のやり方は、呼吸力により力を出して相手を崩すことは行っていませんので、単に『手刀の捌き』と呼ぶことにしました。

 すべての手刀の捌きは、『合気上げ』から発しています。なお、今まで合気上げと称してきた動作は、合気上げからの天地投げということになります。

 合気上げは、お互いに座して向き合い、相手に両手首を掴ませて練習します。

(1) 相手の力をずらす。[蕾の手刀]
(2) 相手の方向に攻めて釣る。[一指四指の手刀、または五指の手刀]
(3) 手刀を地に垂直に落下させる。[蕾の手刀]
(4) 同時に、相手の手の平と自分の間に隙間を生じさせて、相手の掴みを親指と人差し指の輪にして、力の出せない離れない握りに変化させる。
(5) 結果として、相手は微重力空間にいざなわれて、相手の上澄みを取る。

 合気上げは『手解き掛け』の一要素であり、同じ理屈が直突きに対する『山越え』に相当します。

 『手刀の捌き』を、基本五型にまとめました。故師範が、しの字、のの字と、よくおっしゃられていました。

(1) 合気上げ
(2) 天地投げ
(3) しの字投げ
(4) のの字投げ
(5) 手首回し


【しの字投げ】

 今回は、座して『しの字投げ』を行いました。火曜日、木曜日の生徒さん共に好評でした。指導者側が予想していたより、皆さん上手でした。極まったという感覚がハッキリと分かるのが良かったようです。投げられては、横ごろりん程度ですが、受け身の練習にもなり、一石二鳥です。初心者レベル1では受け身無し関節技無しを謳っているので、初心者レベル2の練習メニューに打ってつけのようです。

 『しの字投げ』は、見た目から別名『ゾウさんの鼻』と呼んでいます。でも、手刀を振り流すのではなく、手刀を地にトンと落とします。

1. 相反する[あいはんする]手で、片手持ち
(1) 右手首を、左手で掴ませる。
(2) 合気上げで、相手を釣る。
(3) 手刀を少し落下させる際、手刀を反して甲を地にして、相手の手の上に乗っける。相手の腕は自分の右脇のラインに向き、自分の手刀は相手の心臓の右側面ラインに向く。
(4) 甲を地のまま、腕の重さで落下させて、相手の腕を自分の脇のラインで寄せる。
(5) 相手が崩れたところを、手の平が地に手刀を反し、指が地にトンと付く。

2. 相同じ[あいおなじ]手で、片手持ち
(1) 右手首を、右手で掴ませる。
(2) 合気上げで、相手を釣る。
(3) 手刀を少し落下させる際、手刀を反して甲を地にして、相手の腕の下に潜り込む。
(4) 相手の腕は自分の右脇のラインに向き、自分の手刀は相手の心臓の右側面ラインに向く。
(5) 相手が崩れたところを、手の平が地に手刀を反し、指が地にトンと付く。

3. 両手で、片手持ち
(1) 右手首を、左手を下、右手を上で掴ませる。(上下逆でも可能。)
(2) 1と2を合わせる。
(3) 手の平を天にしたときに、相手の左腕が下、自分の手刀が中、相手の右腕が上にサンドイッチのようになって、相手の肩が拉げる。

4. 両手持ち(今回、練習していない。)
(1) 両手首を掴ませる。
(2) 3を参考に行う。


P.S. 手首でなく、肘辺りを掴まれた場合、高めの軌道になります。しの字投げの練習初日なのに、皆さん、いろいろな掴み方で挑んでこられるし、質問も多く出ました。鉄は熱いうちに打てなので、こういった脱線もウェルカムです。

 画一的動作による反復練習では、何が正しい動きなのか、逆に見極めることが困難と考えます。誤った動作も織り交ぜながら、感覚に響く練習ができるように心がけています。

 攻撃のイレギュラーは、あえて修正していません。例えば、直突きをくださいと言っても、素人はナチュラルフックになるもので、逆にこれが捌けないと素人のパンチを食らいます。

 片手持ちという攻撃は、こちらが剣を抜こうとしたところを、抜かせまいとするシチュエーションであると、聞いたことがあります。後付けと思えなくもないのですが、相手の手首を掴むことは、取っ組み合いではよくあることです。そして、いろんな掴み方があります。

 二人組で稽古する場合、受けと仕手を3回ずつで交代するのが良いようです。相手の癖に対応しようと、苦心と工夫ができるからです。複数人で回し稽古する場合、一回一回受けの相手が替わることから、相手の攻撃を瞬時にイメージしなければなりません。二人組と回し稽古では、求めるところが異なります。
 
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