ガレコレ [Garage Collection]
2019年5月14日(火)
背後霊 #■合気道
 入身投げを、相手の背後霊に触れるようにして掛けなさいと教えていた時期があります。実を攻めるのではなく、虚を攻めることを意味しており、合気の術に通じる要素です。今は、初心者には、この表現を封印しています。

 初心者には、自分の手刀の前腕を、相手の胸のたすきのラインで浴びせて、自分の腕の重さで相手を崩しなさいと教えています。手先と肘も有効に使います。手先で、外側の頸動脈を軽く摺り上げて顎も上げ、手刀を反して親指と人差し指で顎を上から押さえます。肘で、内側のあばら下部を押すことで、体が固定されます。

 腕の重さは2~3kgで、力を込めずとも、十二分に威力があります。もっと軽くても十分です。そう、もっと軽くてもいいのです。ここで、半分という考え方を思い出して下さい。腕の重さ全部を、相手の体に浴びせなくてもいいのです。

 では、腕の重さの半分を相手の体に浴びせるとして、残り半分をどうしましょう。そう、相手を反らせる別な要素に回せばいいのです。背後霊の触れに利用しましょう。

 技は、1つの要素でも成立するのですが、複数の要素で重さ・長さ・角度・時間を分け合い、それら要素が絡み合うことで、神技に近づきます。軌跡ばかりを追っていては、いつまで経っても奥が見えてこないのです。


P.S. 頸動脈への攻撃の練習は、慎重に行って下さい。手刀が触れる程度で十分な効果があります。練習では、手刀を当てる振りで結構です。手刀で叩きつけたり、押し込んだりすることは、実戦では相手がさせてくれません。練習だから、可能だということを熟知しておいて下さい。

 頸動脈は、気管の両側面にあり、心臓から上がってきた総頚動脈は、首上部で外頸動脈(前)と内頸動脈(後)に分岐します。総頚動脈は胸鎖乳突筋に覆われており、この筋と喉仏を目安に、小指の付け根の小指球と相手の気管で挟んで、血管が潰れる程度に圧迫します。一瞬ですが、相手が気持ち悪いと感じます。欲張って、もっと攻めようと思って行うと、相手の抵抗を引き出すことになります。
 
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