ガレコレ [Garage Collection]
2019年5月14日(火)
腰回し #■合気道
 学生時代に学んでいた光輪洞合気道には、独自的なものとして『体捌き』と『腰回し』がありました。

 体捌きは、単独動作で、七型ないし八型あります。型は、すべての武術の母体として創られたものです。型があると言っても、自由に動ける体を作るのが目的と言われています。

 腰回しは、故師範から「お前たちのは、ピアノの回転イスだ」とか、「遠心力ではダメ、お前たちのは、電々太鼓かハンマー投げだ」とか言われるばかりで、理解の及ぶところではありませんでした。

 現在、当道場では、初心者には体捌きも腰回しも教えておらず、上級者にのみ教えています。まあ、腰回しを具体的に教え始めたのも、先の土曜日からです。初心者には、まず相手がどう感じているかを感じてもらいたいので、形を意識してしまう練習方法や不可解な技から遠ざけています。

 一番弟子に指導してもらうことも多くなり、彼が初心者たちに掛ける技にぎこちなさが現れてきました。初心者たちも抵抗することを覚え、これに対応するすべを修得していないのが原因です。

 練習では、技の効果を感じやすくするために、かなりデフォルメ(大げさに)しています。どちらに傾いているか、同じ場所には戻らないこと、少しずれていることが重要で、傍から分かるくらい大きく動かしています。しかし、本当の技は、マジシャンのカードマジックと同様に、目でとらえにくい捌きなのです。技を掛けられている当人も、分からない内に、体が無意識的に反応しているということです。

 心臓の傾きで体が移動することを、第一に掲げて練習しています。これだけの動きでは、素直な動きで騙しがないので、動きが相手に悟られてしまいます。このレベルの練習では、受け手はあまり抵抗せず、仕手の動きに合わせてあげることが必要になってきます。技の効果と手順を学んでいるレベルと考えてもらうと、納得していただけると思います。

 さて、練習も進むと、受け手も少し抵抗したくなります。そのときに、ぎこちなさが発生します。自分は、狡いですが、まだ教えていない『腰回し』『合気の術』を常に使って技を掛けています。「先生の動きは確かに教えてもらったような動きだけれど、何かが違う」と思うようになったら、大したものです。違いを教えましょう。

 当道場で体捌きや腰回しおよび運足を先に教えないのは、陥りやすい勘違いや習性を回避したいからです。脚で移動するのでもなく、腰を切って力を出すのでもありません。心臓が飛び出すはずもありませんが、心臓の傾きと移動を第一と考えます。脚は、心臓の移動に伴って出ます。腰は、心臓の移動を騙すのに用います。

 実は、腰回しだけでは、相手を騙せません。心臓の傾きと移動があってこそ、腰回しや運足が活きます。心臓を進めると、腰も脚も同じ方向に進みますが、腰回しにより、相手にとっては全体が反対の方向に進んだように見えます。腰回しだけでは何も起こりません。この結論に至ったことで、動きの真偽を区別できるようになりました。

 腰回しのイメージは、散る花びらや落ち葉に似ており、ヒラヒラリと宙に舞うものです。一番弟子との腰回しの練習が、ようやく始まりました。


P.S. 上記で示した相手の無意識的な反応は、反射と呼べないと思います。バランスを保とうとして、大脳から命令が出ていることを想定したものです。三半規管、視覚、触覚、経験、本能からの複数の情報で混乱させたいと考えていますが、答えに至ってはいません。

 効果的な反射が得られているかは不明ですが、合気道における反射の利用も研究しています。これに関しては、グダグダ言ってもただの机上論に過ぎないので、このような回答でよろしいでしょうか。


P.S.2 腰回しで相手に触れずして、相手が動けなくなる、吹っ飛んでいくといった技ですが、成田新十郎先生をはじめ、DVDやインターネット公開されている動画も多数あります。解説もされていますが、練習を積んでいない者にとっては、イメージが入ってこないでしょう。極め人は、時に理解を超えます。

 自分は、ようやく腕力や脚力が抜けて、相手に触れで技が掛けれるようになったレベルです。触れずして投げる練習は積んでいませんので、現時点では、自論は述べますが、肯定も否定もしません。

 ただ、練習では、相手に当てて怪我させてはいけないというブレーキが、どうしても掛かります。実戦では、このブレーキ抜きです。

 道場生さんたちの攻撃は、千差万別です。直突きでは、初心者には、指や手首を痛めないように、少し突き方を教えますが、あとは自由に突かせていますので、個性ある突きのオンパレードです。捌きにくい突きだなあと感心するくらいです。

 過去の道場生も含めると、合気道以外の武術経験者が多いのが、当道場の特徴です。多少の手加減はあるものの、確実に当てにくる突きなので、油断できません。片手持ちでなく直突きに対する練習が主体になっているのは、このような経緯からです。

 「先生は、ちゃんとよけてくれるから、安心して、気持ちよく突ける」と言われますので、こちらも練習のし甲斐があります。

 なので、当道場では、相手に触れないで制する練習は、当分先と言うより、無縁です。こちらも、グダグダの回答になってしまいました。反省。
 
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