ガレコレ [Garage Collection]
2019年5月1日(水)
技のレベル #■合気道
 今のところ、合気柔術を練習しており、技はレベル4を最高としています。レベル1~3は、レベル4を基準にして、引き算しています。足し算ではなく、引き算が重要。つまり、レベル4を基準にしているからこそ、レベル1での練習も意義があり、足し算もできるということです。

 今回、側面入身投げをレベル4で練習してみました。相手の顎を、主の手刀でどうしゃくって、どう潰すかを、正確に行います。


 まずは、原理を知るために、喉輪[のどわ]を練習します。相手の喉から顎にかけて、掌底で下から突き上げます。相手が、のけ反ります。力のある人は、そのまま押し切れば、相手はさらにのけ反り、背面に倒れます。

 しかし、相手の顎が上がった状態では、相手の反りが固定されて、踏ん張られたり、透かされたりします。

 そこで、相手の反りを緩めることなく、掌底を顎の下から上に滑らせて、今度は相手の顎の上から押します。相手の反りは深くなり、身動きが不可能になります。


 さて、入身投げは、この原理を利用しています。掌底ではなく、手刀において、二の腕と前腕で、相手の顎をいじっています。力があれば、相手の顎を引っ掛けたまま弾き飛ばせば済むことですが、それは首刈族だと皮肉を言われたものです。

 レベル1は、全体の流れと初動です。相手の突きを、山越えと飛び込みで取り込み、相手を前に崩すことを覚えました。

 レベル2は、技の特異点です。壊れた蝶番の扉のイメージで投げると、相手が背面の渦に飲み込まれるように飛んでいくことを覚えました。

 レベル3は、副の手刀の使い方です。相手が突いてきた腕を、掴まずに、手刀の前腕にくっつけて上下に移動させると、相手の体が崩れ反りやすくなることを覚えました。

 レベル4は、主の手刀の使い方です。反対の手刀において、二の腕で相手の顎を上げ、その流れで二の腕で相手の脇のラインを固定し、同時に前腕を少し立てて相手の顎の上に乗せて、最後に相手の脇のラインを壊れた蝶番と見立てて、前腕を水平に戻して相手の体を扉のように開きながら、相手の顎を押し潰しながら投げます。(今回は、レベル2のブラッシュアップに相当)


 レベル3および4の手刀の使い方は、身に付けることがかなり難しいのですが、飛躍的に攻撃力が増します。相手の受け身の習熟度次第では、技を最後の途中で止めて、相手を支えてあげる場合もあります。受け身が下手だと、致命的に頭を打ちますので、注意して行って下さい。

 今、ほとんどの技を、レベル1(全体の流れと初動)またはレベル2(技の特異点)で練習しています。レベル4からの引き算で考案した型なので、悪い癖や誤った考えに染まらず、足し算でレベルアップできるものと確信しています。

 なお、側面入身投げは、自分の得意とする技でもありますが、道場生の皆さんも好きなようなので、他の技よりレベルを走らせて指導しています。


P.S. 相変わらず、ご質問が早いですね。副を主より先に教えるのには、2つ理由があります。1つは、主は、とどめを刺す動作であり、危なっかしいからです。もう1つは、副は、最後に至る過程で先に行う動作であり、これが出来ていないと、主が無理矢理となるからです。

 レベル4を、合気柔術の極みとしています。大学時代に学んだ合気道をベースに、ああでもない、こうでもないと、いじくり回して辿り着いたものです。型というより仕様と手順と言った方が合うかもしれません。2007年の道場開設時に大まかなものを作っておりましたが、今とは比べようもないくら幼稚なものです。現在、技は安定期に入っており、ある意味、技の進化は停滞しています。

 レベル1では、初動を徹底的に練習します。はじめ良ければ全て良しです。まずは、攻防一体の動きで、確実に防御できることを、実感してもらっています。次に、相手の攻撃を取り込んでしまうことです。初動は各技に共通しており、当道場の練習の大半は、初動の練習に費やしています。全体の流れは、二の次です。

 レベル5は、合気の術として、机上論から進んでいません。全体の流れにおいて空間と気を重視して再構築したものですが、質が異なる次元であり、今伝えようとしても意味不明と言われるのが落ちなので、公開練習する予定はありません。一番弟子が、ほとんどの技をレベル4で行えるようになってから、試したいものです。

レベル1:全体の流れと初動
 ↑引き算
レベル2:技の特異点
 ↑引き算
レベル3:流れの強化
 ↑引き算
レベル4:とどめ
(合気柔術の極み)
 ↓再構築
レベル5:空間と気
(合気の術の入口)
 
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by Network Communication Note