ガレコレ [Garage Collection]
2019年2月11日(月)
山越え ■合気道
 『山越え』は、突き手の流し裏に相当し、当道場で最も練習している複合術です。

 相手が突いてきた腕を、手刀で払い絡めて制します。これが身に付いていなければ、あと何やっても、殺られるか、別の格闘術です。

(1) 相手の突きの出鼻に、相手の肘に下から手刀で触れて、突きの軌道を逸らします。(肘触れの術)
(2) 相手の腕を壁にして押し、自分の体を少し除けます。(柳の術)
(3) 相手の腕を手刀で越えて、相手の腕を少し押し退けます。(山越えの術の核)
(4) 相手の腕を手首まで手刀で撫で下ろしながら、相手の上澄みを取ります。(おひけえなすっての術)

 (3)が山越えの術の核で、他3つの術を融合しています。


1.肘触れの術

 まず、相手の肘を止めることに集中します。相手と打ち合うより、相手の二の腕の長さ分、間合いを遠くして捌けます。相手の突きを、躱したり払ったりすることは難しくても、相手の肘を止めることはできます。

 相手の肘の二の腕側下のくぼみに、手刀を下から触れます。サッと出すのであり、振り子ではいけません。

 手刀を立てて、薬指のラインの甲で触れ、手先は拉げて斜めになります。初めから、手先が斜めでは面白くありません。

 互いが磁石でくっつくイメージです。


2.柳の術

 初めから逃げるように移動しては、相手は突きの軌道を修正したり、相手を呼び込んでしまい追撃を受けたりします。能動的によけては、見透かされるということです。しかし、受動的に動いては、後手を踏みます。受動的に動いているように、相手が感じればいいのです。これが『騙し』の本質です。

 相手の腕を壁にして、自分の体を除けます。相手の腕の移動と、自分の体の移動が半分ずつで、突きを躱します。

 柳の木が風で揺れるイメージで、足元から根が張り足裏はほとんどずれず、上体がしなるような感じです。

 上体のしなりがある程度に達したら、足裏を剥がして飛ぶように移動します。同時に、半身の切り替えも行っています。


3.山越えの術

 相手の腕を手刀の薬指の背でなぞるように越えて、相手の腕を少し押し退けます。相手の腕に、自分の手先と肘で軽く挟むように、絡みついています。自分の肘が、ガードになっています。跳ね除けて、お互いの腕が離れてしまうのは、別の格闘術になります。


4.おひけえなすっての術

 相手の心臓のラインまで押し込んだ相手の腕を、相手の脇のラインまで戻してきます。

 その際に、相手の前腕を、手刀でたくさん滑めます。そして、相手の橈骨動脈拍動部に、手刀をピタッと終着させます。相手の手の平が天になり、相手はおひけえなすってのポーズになります。このときに、相手の上澄みを取っています。

 仁義を切る際に、他意が無い証しとして、手の平を曝して、倒れやすい姿勢で挨拶したものを、「おひけえなすって」のポーズと呼んでいます。この姿勢に崩すことが、非常に重要です。


P.S. 大学時代に行っていた『突き手一教裏』とは、全く異なります。その型には無理があり、当道場では廃止しています。『直突き一本取り』の初動から導入部が『山越え』と考えて下さい。
 
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