ガレコレ [Garage Collection]
2017年7月9日(日)
ひらひらひらと揺れ、心持ちずれている軌跡 ■合気道
 合気道の練習で、『型』を一通り覚えたとき、このままでは使い物にならないと気づくだろう。この先に進まなければ、合気道を続けることは難しい。

 柔術は、『型』と『力』の融合で成立している。力の強い若い人が型を真似れば、手っ取り早く強くなれる。

・柔術は、『型』と『力』の融合。
・合気柔術は?
・合気の術は?

 若き日の自分は、合気柔術と称して、型に少しばかりの合気の術を足して、自分の力を最大限に出すことに主眼を置いていた。こういう段階も経験しておかなければいけないのだが、あまりにも長く留まっていたと思う。

 皮肉にも、一人で練習するようになって、相手はどう感じるだろうかと考えるようになり、歳を重ねて力が半減して、力を使わずにどう倒すかと考えるようになった。同じ環境では、人は変われないと気づかされた。

・相手はどう感じているか?
・力を使わず倒す。

 『型』に付随して『軌跡』を考えるようになる。軌跡は、同時進行する意図の結果である。決して単純なものでは無く、軌跡を後撫ぜして真似ても、同じ効果は得られず、意図を紐解くことは難しい。まして、外から見ているだけでは全く理解できない。否定はしないが、『円』とか『球』と称して、軌跡を理想形に単純化することは、甚だしい勘違いである。

 軌跡は、ひらひらひらと揺れ、微秒にずれている。引っ張っているように見えて、押して持って来る。これらが出来て初めて、相手にとって心地良く、相手が術に嵌った動きをしてくれる。

・軌跡は、同時進行する意図の結果である。
・軌跡は、単純ではない。
・軌跡は、揺れとずれを伴う。


 具体的に、『突き四方投げ』の導入部分で説明する。

 『突き四方投げ』の導入部分とは、「後ろ45度に捌き、90度に開く」と教わってきた部分である。相手の突きを『しの字』で崩すと説明を受けてきた。

(1) 相手が右直突きを出すのに合わせて、右手刀で相手の右肘辺りに下から斜めに宛がう。ずれが生じて、相手の突きを狂わせ、相手の体を浮かせることになる。

(2) 右手刀を、向きを変えて、戻してくる。このとき、相手の突きは放たれるが、軌道を変えられているので当たらない。ここで相手の腕を引き寄せては、相手を呼び込んでしまう。右手刀は、押し進めて、相手の手首辺りに到達している。左手刀を相手の肘裏にそっと添えておくことで、相手の攻撃する気が失せる。

※相手の突きを、両手刀(両腕)で挟むと教わってきた。挟むことを動作目的にしては、絶対に挟めない。

(3) 自分の後方に流した突き(相手の腕)を、相手の体に返し、跳ね返ってきて、自分の前方に流す。相手のあばら骨が前で曲がっているところに返すが、心持ち前方にする。相手の肘を曲げない。相手は浮くが、相手を持ち上げていない。相手の腕の重さ、身体の構造、反射に近い反応を利用する。

※心持ちのずれが、相手の次の行動を狭める。完全に行動を制御できるものではない。

※長年、腹切りの動作に悩んだ末に、行き着いた動作であり、合気道界の標準動作にしたい。

・相手の攻撃を逸らして、呼び込まず、攻撃の気を失せさせる。
・常に、拳の先、剣先、銃口先に自分はいない。
・『しの字』ではなく『んの字』の軌跡。

 単純に一方向に進めば、何をしているか相手は気づく。真の合気の術を掛けられたとき、相手は「何故かしら崩れたが、油断しただけ」と悪態をつくだろう。『騙し』が上手く決まった瞬間である。


P.S. 当道場では、道場生の攻撃の得手も考慮して、『片手持ち』や『正面打ち』ではなく、いきなり『突き』で練習することが多い。その突きも『短刀』で突く感じで行っている。

 実戦的と言うより、道場生が納得できる方法で行っている。『突き』で納得したものを、『片手持ち』や『正面打ち』で再確認して貰っている。
 
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