ガレコレ [Garage Collection]
2015年6月14日(日)
相手の体を反す ■合気道
 相手をひれ伏させるには、相手の腕を背→天→腹に回転させる。相手をのけ反らせるには、相手の腕を腹→天→背に回転させる。

 ←
↓腕↑  ⇒  腹\背
腹・背

 →
↑腕↓  ⇒  腹/背
腹・背

 一見常識とも思えることを、故先生が何度もおっしゃられていた。
そのまま、相手の肘または手首を押し込んで、その回転に力を込めれば、相手を倒せるはずである。何故、こんな単純なこと力説されるのか、当時は理解できなかったが、実はその先があった。

 力学的には梃の原理で効率的なのだが、相手もひっくり返されるとなれば、そう易々とはさせてくれない。では、その反動を利用するのかと言えば、相手が意識して出してきた力は、貰うには大き過ぎる。合気道で相手から引き出し貰うのは、無意識から来る反射的反応である。


 相手の突きを、突いてきたままの方向に飛ばす『呼吸投げ表』を例に考えてみよう。

 相手の突きに対して、手刀を下から宛がう。手刀は、相異なっても相同じでも、相手の腕の下でも上でも、同じ原理で飛ばすことになる。相手をのけ反らせて投げる。おそらく、この点が非常識に映るであろう。

 相手を前方に投げるのだから、回転が逆なのではと思うだろう。柔道の『背負い投げ』のように、もう一度自分の背で受けて弾き飛ばすのであれば、それでも良いのであろう。練習では手加減しているが、真の技では相手が側転する。

 冷静に考えれば、逆の回転では、相手を呼び込んでしまったり、相手の反対側からの攻撃をもらったり、とても攻防一体とは言えない。

 さて、ここからの説明は、秘伝にしておこうと考えていたが、一番弟子から文章にすべきと言われたので、思い改め記述を試みてみる。

 現象から整理すると、相手の追い突き(順突き)に手刀が触れることによって、相手の拳が浮き、拳と反対側の足が浮く。逆突きでも、同じ原理なのだが、位置取りが異なり、また、相手の腕の下を通過する呼吸投げの方が適していると考えている。

 手刀が触れているところは、ボンヤリとした力点である。作用点が拳と足の2ヶ所にあると言うことは、支点が2つあると言うことである。

 拳━支点1━手刀━肘━支点2━足

 相手の腕を相手の腕1/4軸でパタンと倒し、仮想剣の弱点を攻めるイメージで相手の肘の二の腕側の腱を軽く落とすと、相手の肘が少し曲がり、体が崩れる。支点1が欠ければ、手刀のネッチョリ感は消えて外れる。まあ、この現象に意義を見いだせていなければ、身にも付かないだろう。


 もう1つ別の技『合気入身投げ裏』でみてみよう。相手の裏に入身転換し、相手をひれ伏すように回し、相手の体を起こして投げるという、合気道界では、最も認知されている技である。

 相手を回すときに、相手の肘を押し反すなどして、ひれ伏させる回転を与えてしまっては、相手の体は起き上がってこない。そもそも、肘が取れているなら、技は終わっており、投げまたは固めに移る。それでも、相手は崩れまいと起きようとすると言うのであれば、その一連の動きは慣れ合いと言わざろう得ない。

 相手がのけ反りながら回ってきて、勝手に仰向けに倒れるのである。えっ、相手の肘を押し込まないの?と思われることだろう。この非常識的な感覚が、合気道の妙の1つなのである。


 教えられたことを常識の範疇で鵜呑みして、百万回、間違った感覚で練習しても、反面教師にも、何の足しにもならない。伝えられしことを吟味することを省けば、常識に囚われた動きしかできず、合気道は味気のないものに落ちぶれてしまう。


P.S. 上記の『合気入身投げ裏』の導入であれば、各種技の型に分岐することができる。

P.S.2 突っ込んでくるトラックに対して物理的に技を掛けるのではなく、運転手に対して心理的に技を掛けるのである。体はトラックに過ぎない。

P.S.3 教えられた道を進むだけでは、その道を知ることはできない。最終の地は遥か遠く、道程を楽しまなければ、歩き続けることはできない。

P.S.4 常識に背を向けるのではなく、常識を見つめ直すことが、非常識の糸口である。
 
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