ガレコレ [Garage Collection]
2019年2月14日(木)
相手に触れずして崩す #■合気道
 今週は、DVD『如是我聞 円和の合氣道(指導/監修 成田新十郎)』を、何度も観ています。

 自分が習った合気道の総本山なので、自分にとってはかなり為になる内容です。同流派とは思えない内容なのですが。。。

 当道場のメンバーには、触れる前の初動として、相手と自分が一体化するところを観てもらいたかったのですが、如何せん、相手に触れずして崩す動作ばかりなので、不評でした。現時点で『腰回し』を一旦横において指導しておりますので、まったく馴染めなかったのでしょう。

 例えば、大型トラックで、あなたを引き殺そうとしています。大型トラックに対して何かしても無意味です。運転者に働きかけて、何故か知らないけれど、ハンドルを切ってしまったというのが、合気の術に相当すると考えてみて下さい。

 故師範は、自分が学生時代には「合気柔術を練習しなさい」「何度も守破離を繰り返しなさい」「腰回しで捌きなさい」と言われていました。晩年は「奥義を修得するのに時間を費やしなさい」と強調されていました。

 合気柔術と合気の術、守、腰回し、奥義とは何ぞやと、いつも問いながら練習しています。

 相手に触れずして崩すことは、間違いなく合気の術の根底なのですが、これ自体の練習には大分無理があります。故師範の言葉を「合気柔術の練習の中から、その感覚を掴みなさい」と解釈しております。

 相手に触れずして崩す要素を羅列してみます。

・腰回しで行う。(今は内容を無視して下さい)
・相手の攻撃の出鼻を挫く。
・中心を外して、相手の嫌な位置にいる。(相手の盲点)
・相手が、攻撃されると思う。
・相手が、避けなければと思う。

 上記とは別に、決定的な要素があります。

・相手に当たると思う。

 さて、相手に当てに行っているのに、それを無意識と意識の狭間で回避してしまうとは、かなり矛盾を孕んでいます。

(1) 自分が抱く当たるイメージと違う。(何でいつの間にお前ここにいる? 相手に当たっても大したダメージを与えられそうにないし、自分が不利になってやられるかもという違和感。)
(2) 先生または練習相手を怪我させてはいけない。
(3) 先生に恥をかかせられない。(忖度)
(4) 自分はここまで理解している。(自己アピール)

 本来は(1)の要素で、攻撃を止めてしまうのでしょうが、普段の練習では(2)が強く働いてしまいます。練習では、攻撃も手加減しています。練習では何となく出来ているのに、実戦では全く通用しない理由は、そこにあります。これでは、何の練習をしているのか、意味がありません。

 剣道の高段者の家に泥棒が入り、泥棒が手にした日本刀を、剣道家は首を傾げて除け、肩から斬られたという例が挙げられます。拳法の達人が、実戦形式の試合でボコボコにされることも多々あります。

 なので、合気の術の数歩手前の『合気柔術』で練習します。型を覚えることより、相手と自分がどのように一体化するのか、相手がどう感じているのかを探求します。


P.S. 円和の合氣道 [DVD]は、amazonで新品9,800円でありますね。自分が購入したときは5,000円でした。単行本が、2010年11月20日とあるので、もう8年前の作品なんですね。


P.S.2 如是我聞[にょぜがもん]
「このように私は聞いた」の意
https://kotobank.jp/word/%E5%A6%82%E6%98%AF%E6%88%91%E8%81%9E-110678
 
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